時計じかけの俺んち

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20140721 Mon
「ここまで調べた『この世界の片隅に』~大阪出張版」@ロフトプラスワンウエスト 

「ここまで調べた『この世界の片隅に』~大阪出張版」@ロフトプラスワンウエスト 

ロフトウエストにて開催された、「ここまで調べた『この世界の片隅に』~大阪出張版」を観てきました。
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これは、こうの史代「この世界の片隅に」という漫画をアニメ映画として作るにあたり、監督、脚本である片渕須直氏が、原作の舞台や時代風俗の調査結果を、取材資料とともに披露するという企画。
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結論から言うと、とてつもなくディープ、かつ最高に面白かった。
この映画は、アニメ化のアナウンス以降は進捗状況が分かるニュースもほぼ出て来ず、辛うじてNHKのみんなのうた「花は咲く」のアニメ版をキャラデザこうの史代、監督片渕さんで作って、ある意味トレーラー版なのかなーと思ったくらいで、後はなしのつぶて。なのに東京やあちこちでイベントやってる話だけは流れてきてて、思わず
Bsl4USuCcAACyMk.png
と言いたくなる感じだったんですが…。
今回のイベントに参加して分かった。
正直、完成する気がしません。
このペースでやってたらあと何年かかるんだか分かったもんじゃない。それくらい綿密過ぎる調査をして作ってる。
というか、裏を返せば原作がそれだけ綿密な時代考証や当時の呉、広島の街並み、時代風俗を調べた上で描かれているという事。
自分が原作を読んで受け取った物や理解した物って、この本の中身のほんの少しだけだったんだ…

戦中の広島で育った主人公、すずさんが呉へと嫁ぎ、見知らぬ土地と人々中での暮らしを淡々と描いた漫画。
一見すると地味な印象を受ける絵ですが、独特のタッチで描かれるその世界は、読者の心に強く残る物がある。
「戦争」という大きな時代のうねりの中で刻々と変わっていく生活を、終戦まで描き切った傑作。
作中では実際の戦記はほぼ語られず、ト書きで注釈が入る程度。当時の民間人が戦況を知り得た筈も無いワケで、日々不便になっていく暮らしの中で折り合いをつけていくしかない。
だから終盤、呉が実際に戦火に焼かれ始めてからも淡々と描写が続き、逆にそこがキツかったりも…。
誰かに「面白い漫画教えて」と言われれば必ず紹介したくなる漫画じゃない(というかある程度きちんと漫画を読める人じゃないと面白さが伝わりにくい)ので、今回の映画化は冒険だなあと思うけど、片渕監督の前作「マイマイ新子と千年の魔法」を観るからに、その時代の雰囲気の出し方に長けた人でもあるのでまあ大丈夫かな、と。

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まだ映画が出来てないから販促費が出ず、今回も自分で東京からクルマ運転してのイベント参加となったらしい片渕監督登壇。
ロフトプラスワンのスタイルとして、イベント参加者の飲食費がそのままギャラになるシステムなので、我々は飲んで支援だ!(ビールゴクー

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スペシャルメニューは山芋の磯部揚げ。
すずさんの実家は海苔を作ってたからね、必然だネ。
スタッフ達も実際に海苔漉きを行ったらしく、その海苔を見せてくれました。
当然その海苔で作られた磯部揚げではありませんがw


監督曰く、前回の作品「マイマイ新子と千年の魔法」では昭和30年代の山口県を描いた。これは自分が生まれた年代だから実体験も交えて時代の空気感を出せたと思う。
ではそこから10年遡って昭和20年ならどうだろう。場所も少し東へずらして広島で。…という企画を練っていると、それならこんな漫画がありますよ、と紹介されたのが「この世界の片隅に」であった。

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原作1巻の1話。
まずはこの1コマ目をスクリーンに描いてやる。
スクリーンはこのコマよりも横に広いから、このコマの左右の切れてる部分を描いてやらないといけない。
普通の人ならなんとなくオリジナルでそれっぽい絵をつけるところですが、このチームは違った。
実際に広島までロケハンに行って、このコマの場所を特定し、当時の写真や資料をかき集め、すずさんが実際に立っていた場所から見える建物や景色を完全に再構築してしまった。
「実際に現地に行って分かったんですが、この左下に見えている港の縁石は本当は存在しないんです。だから作画からは消しました。」
これがどれだけ怖いセリフかお分かりいただけただろうか。
この1コマを描く為だけに、おっそろしい時間と労力を割いてるんです。
「右上に描かれている松の木ですが、この家を最近建て替えした時に木を残したのに、基礎工事か何かで根を痛めたのか枯れてしまって、今ではパラソルが立っています。」
「このコマの左から先の風景で、ロケハンでは倉庫が建ってるんですが、それがいつ作られたかが分からない。空き家だったので軒下を覗かせて貰ったら基礎がコンクリートだったので、すずさんの時代のものではない訳です。と同時に当時の古い航空写真を拡大して見てみるとですね…」

あっこれ1巻の1コマ目だけで一時間くらい説明かかってまう。アカンやつや…
この1コマの説明だけでもどえらい量の写真と資料と背景の線画が出てくる。ここでまずイベントのペース配分の心配と、何よりこの調子で単行本3巻分の背景やら時代考証やら文化の調査してたら映画作り始めるまでどれだけかかるんだ…という心配でココロが痛くなってきたw

どうやら前回東京でやったイベントでは、この調子で進めていったらすずさんが嫁入りする前に辿り着かずにイベント終演時間になってしまったらしいw
えっそれって1巻の4話目じゃないですか…

このイベントでは、片渕監督の手持ち資料なんかも会場で惜しげもなく触らせて貰えた。
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これは当時女性が実際につけていた化粧道具。
蓋を開けられるものは実際に開けて、においを嗅いで欲しい。「当時のおしゃれのにおいがします。」とのこと。

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当時の貨幣なんかも。

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「これは焼夷弾。まだ信管ついてます。まあナパーム抜けてるんで大惨事にはならんでしょう。クルマ乗っけて走ってきたけど平気でしたし。」
えっなにそれこわい。

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当時アメリカでは、砂漠に日本家屋をわざわざ建てて、瓦を突き破るが天上板で留まって確実に家屋を燃やせる設計の焼夷弾を開発していたそうな。
それに対抗すべく、日本人は天井板を抜いて、焼夷弾が床に届くようにした。天上で燃えられるよりも床なら水をかけたり消火もしやすいと考えたから。
原作でも天井板を外すシーンがあって、その後空襲で焼夷弾が降ってくる描写あるけど、きちんと消火に成功している。
でも原作では焼夷弾の燃え方の説明なんかは詳しく解説はされてないし、天井板を抜くのも「せうい弾が引っかからぬよう」くらいの説明。当時のすずさん達が知り得た情報量のみで話が進んでいく為仕方ないんですが、調べてみるとここまで分かりました、と。

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原爆投下後の1シーン。
この3コマ目に出てくる飛行機は実在し、飛行記録も残ってる。広島へ伝単(宣伝ビラ)をばら撒きに行く米軍機です。
これは原作のこうの史代さんが、作品を描くにあたってまず詳細な年表を作った上でストーリーを乗っけていったから。
登場人物達のファッションも、戦中漫画だと特に深く考えないでモンペ姿の女性を描いているけど、当時は戦時中でも普通にスカート姿の女性がいた。それが昭和18年に燃料の配給が滞り、寒さを防ぐ為に仕方なくモンペを着用するようになった、と。
上着に縫い付けられた、自分の住所や名前を記した名札がいつから付けられるようになったのか等、普段全く気にしない点にもきっちりフォーカスして調べ、その上で原作を読み返すと、史実と漫画のファッションがちゃんと合っている。
これはもう片渕監督も執念の人だけど、原作のこうの史代さんの調査がとんでもないレベルだったって事です。
ここまで調べて、初めて原作の凄さを知る。だからこんなイベントが成立し、回を重ねていける。

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これは単行本1巻の目次。
第一回が18年12月とありますが、これ、雑誌掲載時は、平成18年12月に発売された雑誌に掲載されてます。
でも描かれているのは昭和18年12月のシーン。
ちなみに平成19年12月発売の雑誌には、昭和19年12月のシーンが。
つまり、劇中の季節と実際の季節がリンクする作りになっていたという事です(全てでは無いみたいですが)。
雑誌連載を追っていた読者は、当時の時間軸とリンクした季節でこの作品を読んでいたという事になる。
これはとんでもないギミックですよ。そこまで計算されて描かれていた漫画だったとは…。本当に凄い。

いや正直な話、背景の1シーンだとか登場人物のファッションなんかは、あくまで作品の面白さとは直結しないし見てるほうにも伝わらない事です。
そこにここまでこだわって、時間を割いてまで調査する意味はあるのか。イベント途中まではそう考えていました。
けど。
原作がここまでやってこの世界を作っていたなら、映画化するにあたってそれをなぞるのは、敬意を持って作品を作る片渕監督のスタンスから考えると、外せない事なんだな、と。
そうあるべきだ、と。

とんでもない原作に手を出したなあという思いと、この調子で描かれる事になる劇場版「この世界の片隅に」は、きっと大傑作になるという予感と。
その二つの想いで胸がいっぱいになりました。
もう本当にメチャクチャ期待しています。何年かかるか想像つかないけど、映画の完成が待ち遠しい。

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会場に展示されてた新しいビジュアルポスター。これは劇中にもチラッと登場する重巡、青葉。

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呉市の観光ポスター。こうの史代さんが描いたもので、2種類あります。
もう片方には原作のとあるシーンの答えのようなものが描かれているんだけど、それはイベント参加者した人だけのネタということで。

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物販も出てて嬉しかったなあ。
映画が未完成で宣伝費が出ない為、イベント物販を作って費用の足しに、という事だったのに、Tシャツや手ぬぐいを作るのに数十万の経費がかかってしまって(略
か、買います! ボク買いますから!!

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手ぬぐい。すずさん百面相と小物が描かれていて可愛い。これはいいですねー。

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Tシャツ。正面の胸の部分に作品ロゴ。そして背面にはご覧のシルエットが。
このTシャツは、作る前に監督自らツイッターでサイズどうしようかと問い掛けがあって、誰かがXXL作ってくれとリクエストがあったらしく、当日はS、M、L、そしてXXLというサイズが…。
しまったXLもリクエストしとけばよかった。流石に自分でもXXLはデカ過ぎるんだよなあ。
今回はLを購入。やや小さいけどインナーで着るぶんにはジャストフィットです。痩せねば(使命感

本当に楽しいイベントだった。期待以上でした。
何より原作をただ単に読むだけでは絶対に知り得なかった設定が、ここまで明らかになった事が嬉しい。すずさん達が立っている場所が自分の生活と地続きで、行こうと思えばその場所に自分も立てる。時代が違うだけで。
これ聖地巡礼するのにも相当綿密な下調べが必要ですな…。まあ何となくすずさん達が暮らした町の雰囲気を味わいに行くだけで全然いいんだけど。

思えば「夕凪の街 桜の国」という漫画でこうの史代を知り、その作品を読んでしまった事で一生抜けないトゲが心に刺さってしまった。ごく短い短編だったけど、あの漫画を忘れる事は一生無い。
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その作品で「ヒロシマ」を描いた人が、次は軍港である呉を舞台に漫画を描いた。
凄い漫画だった。

今回のイベント前に読み直し、イベント後にゆっくりもう一度読み返してみて、得られる情報量が段違いに増えた。
こういう読み方が出来る漫画だったんだ。
落涙しました。

自分では知り得なかった本作の魅力を改めて教えて頂いて、感謝の極みです。
片渕監督、そして原作のこうの史代さん。イベントスタッフの方々、参加者の皆さん。どうもありがとうございました。
願わくば次もまた、いつか大阪でイベントやって下さい。
それと、調べた資料は劇場公開以降でいいんで、ムックか何かで発表して下さい。絶対買います!

参考:1300日の記録[片渕須直]
調査結果その他もここで読めます。不勉強でこの記事全然知らなかった…

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